④ 集中を深めるには、○○をひっこめる。

ココロを「 湖 」にたとえたメタファー

 「 湖 」= 「 心 」の状態が穏やかであると、
「 湖の底 」 = 「 本当の自分 」 がクリアに見えるという
インドに古くから伝わる比喩的な表現方法です。( 参照 )

 

前回のブログでは、
「 湖 」の奥深くに潜っていくように「 心 」の奥深くに意識を向けていくには。。

 

というところで終わっていましたが、
ここはヨガをする上で、とても重要な部分。

今回は、その続きから。

 

ちょうど

内容の近いご質問をいただいてましたので、
そちらをふまえて、お話していきます。
 

① ポーズ名あれこれ

② 心・思考・自分 | 湖のメタファー
③ 心の3つの性質  
④ 心の「 集中 」を深める   ←本日
 

「 集中を深めるにはどうすれば? 」

 
こちらが、普段レッスンにご参加くださっているかたからいただいた

ご質問です。

 

ヨガの道を8段階に分けて理解する
八支則( アシュタンガ )というコンセプトで、
3. ポーズ、4.呼吸、の後に続く
6の集中までの流れがいまいち掴めない、
「 より深く、集中をするには? 」
ということでした。
 
鋭いご質問ですね。
この「 集中を深める 」というのは、
「 湖の底に深く潜る 」こと、
「 心のより深い場所へ意識を向ける 」ということに繋がっていきます。
 
ヨガをされるときに、
「 集中 」という段階まで意識をするようになると、
ポーズも上達しますし、
メンタル面への良い影響・効果もより及ぼしやすくなりますので、
 
湖を深く潜っていくような、
「 ココロの深い集中 」をいつも心にイメージをして
練習されると良いかもしれません。
 
そのために「 集中する 」とはどういうことか、
どうしたら集中できるのか
を見ていきましょう。 

八支則 ( アシュタンガ )のおさらい

 
ヨガの道を8段階に分けて理解する
八支則( アシュタンガ )というコンセプトについて、
簡単に復習です。 
 
1. ヤマ ( 禁戒 )
2. ニヤマ ( 勧戒 )
3. ポーズ 
4. プラーナヤーマ ( 呼吸 )
5. プラティヤハーラ ( 制感 )
6. ダーラナー ( 集中 )
7. ディヤーナ ( 瞑想 )
8. サマディー ( 悟り )
 

でした。 ( 詳細 )

この8つのステップは、

 
1. ヤマ ( 禁戒 )
2. ニヤマ ( 勧戒 )
3. ポーズ 
4. プラーナヤーマ ( 呼吸 )
– – – – – – – – – – – – – – –
5. プラティヤハーラ ( 制感 )
6. ダーラナー ( 集中 )
7. ディヤーナ ( 瞑想 )
8. サマディー ( 悟り )


と、このように前半と後半で
仲間わけしてみることができます。
 
1〜4までは、肉体的なこと。
5〜8まではより、心や意識など、
心理的・内面的なこととなります。
 
ただ、5のプラティヤハーラ ( 制感 )だけは、
肉体と心理の2つの要素をもつという見解もあり、
とても複雑な部分。
 
ご質問ださったかた ( Yさん )は、
主にスタジオで3のポーズ、4の呼吸を中心に
ヨガの練習をされ、
5の制感についてはまだよく分からないということでしたが、
そこに、Yさんの集中が深まらないと感じる理由があるのではないかと
思っています。
 

( 制感 )は、感覚のコントロール

 
八支則( アシュタンガ )のコンセプトの中で、
5番目の制感は、確かに理解が難しいところですが、
8つのステップのうち
真ん中に位置し、
とても重要な役割を担っています。
 
 
カメ_八支則

ここで、イメージをつかむために、
以前もご紹介した
カメの絵と
感覚器官についてのイラストを振り返ってみます。

 
プラティヤハーラ ( 制感 )は、
英語では、WITHDRAW ( ウィドゥドロー ) となります。
 

あまり聞きなれない単語かもしれませんが、
みなさん、カメが手足を甲羅にしまう様子をイメージできますか?
それがウィドゥドローです。
 
withdrawには、
預金を引き下ろすという意味だったり、
カーテンを引く、
撤退する、
といった、
「 ひっこめる 」 というようなニュアンスが

多く含まれています。

 withdrawl_制感_八支則



何を引っ込めるのか?

 
さぁ、プラティヤハーラ ( 制感 )では、
何を引っ込めるのか。
 
そうです、

「 感覚 」 を引っ込めるのです。

 

よく日本語では、
「 その手を引っ込めて! 」
「 引っ込んでなさい!」
などのように、
何か邪魔なものに対して、
下がりなさい、出てくるんじゃありません、
という意味で「 引っ込める 」を使いますが、

それとまったく同じことです。

 

目や耳を通して入ってくる
外界からの情報は
「 集中 」への妨げとなります。
 
例えば、洋服を見ると欲しくなったり、
食べ物の良いにおいを嗅いだら、食べたくなったり、
騒音が耳に入ると集中できなくなってしまったり。
 
外側の世界からの情報は、
魅力的だったり、気が散らすものであったり、
わたしたちは、

感覚による影響を非常に受けやすいのです。

逆に考えると、外側から入る情報をなるべく減らしていくことが、

「 集中 」への糸口へとなります。
 
情報の入り口である
目や鼻といった感覚器官のはたらきを抑え、
より「 内側 」に意識を向け、
集中を深める作業。
それが、ヨガでは
八支則5番目のプラティヤハーラ (制感) なのです。
 
「 引っ込める 」とはいっても、

実際に目や鼻を引っ込めるわけではありません。

 

どうやってそのはたらきを抑制していくのか。
 
そのためにあるのが、
ポーズと呼吸なのです。
 
このあたりを次回から見ていきましょう。